いつかの春夏秋冬。
去年は何を想った?
桜と空と暖かい風の狭間で。
思い出しても
これといって浮かんでこない。
去年は何を願った?
君と僕と桜の下で。
思い出したら何だか胸が苦しいよ。
もしかしたら想いも願いもいらないくらい
僕は幸せだったのかなぁ?
何度振り返ってももう戻らない。
風が宥めた
それがときの流れ
光を必死で紡いでいく
それがときの流れ
見せることもないけれど
ただちょっと君を想って
シャッターをきってみれば
去年とよく似た桜が
レンズの向こうで揺れているよ。
よく似た笑うみたいに
よくはしゃぐ子供みたいに
レンズの向こうで
桜と空と暖かい風の狭間で
君と僕が揺れているよ。
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夏の夕暮れ
湿気りかけの線香花火
思い出したように火をつける
蒸した風に火薬が溶け出して
ほろ苦い愛しさが
パチパチと花を咲かすよ
瞬く心の中
花火とは裏腹に
音も出さずに浮かび上がる
いつかの夏の日
すーっとね
落ちてく小さな灯火が
やけに胸をくすぶってしまうよ
浮かんでは
締めつけて消えてく花火
まるで君に似ていて
動揺した指先押さえて
少し微笑んでみた
燃えつきたら
二度と戻らない花火も
過ぎ去った夏と変わらない
瞬く心の中
陽の落ちた庭に
声も届かず浮かんで消えた
いつかの君の横顔
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君の暮らす街が晴れていて
僕の暮らす街は雨だとしても
繋がる想いは澄み渡ってる
そんなこと想いながら
空を見上げて
懐しい匂いにのって
膨んだ雲は
途切れることなく
運ばれてく
ゆっくりと
ゆっくりと
どこにいても
見上げる空
続いてく空
君の暮らす晴れた街へ
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君が描くというのなら
躊躇なく絵の具を
躊躇なく筆を用意しよう
晴れた日には青色を
曇りの日には灰色を
雪の日には白色を
素直に君が描くなら
僕は君にインクを渡そう
マジシャンでもなければ
魔法使いでもないけれど
君が求める色を
取り出すことくらいできるんだ
子供のような無邪気さで
君が未来を描くというのなら
大人になって捻くれてしまった僕にでも
取り出すことくらいできるんだ
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